comicbird’s blog

備忘録として我が家所蔵の漫画を全て記録しておこうと思いつき、始めました。

昭和不老不死伝説バンパイア3 徳弘正也氏

vol.17:マリアの国のために

  あらすじ;十文字化粧品会社の社長愛子が亡くなった2日後、篤彦は出社して変わらず副社長として仕事を始める。その頃昇平は授業中で、先日襲撃されたマリアを助けられなかった不甲斐なさに苦悩していた。そして篤彦は末期癌に冒された製薬会社会長の来客対応をこなし、人間の醜悪さを再確認してマリアを信じるより良い世の中を作る事を改めて誓う。

 

 冒頭の篤彦の夢で篤彦が如何にマリアを神格化しようとしているかわかります。亡くなった愛子が色情地獄にいるだろうと言う呟きとの対比が印象的です。愛子という人間に欠片ほどの興味もなく、只々マリアしか頭にない事が描かれています。そして異様なまでの外面の良さ。人望がある篤彦ですが、その根本には完璧なまでに覆い隠したマリア以外への究極の人間不信を感じさせます。

 

VOL.18:マリア会の悲願

  あらすじ;昇平の能力は加減しなければ人を殺しかねない程になっている。昇平には学校の他生徒が全てネズミに見え、自分が頂点に立ったと感じる。その後篤彦に会った昇平は、篤彦がライオンに見えた。篤彦が妻愛子を殺害したと確認した昇平が賛同の意を示すと、篤彦は自分がマリアを神と掲げるマリア会を主催していると告白し、昇平にも参加して欲しいと伝える。

 

 今や学校で腕力では昇平に敵うものはいないようです。他の生徒がネズミに見えた昇平。それは昔の自分の姿と推測できます。昇平の物事や人々に対する考え方が如実に表されています。そして篤彦がライオンに見えた昇平。いくら能力が高まっていこうとそれを使う人間の精神が未熟であれば、効果的に使いこなせません。マリアと共に過ごす中で、昇平の人格も成長していく事を期待してやみません。

 

VOL.19:集いし天使達

  あらすじ;マリアは梅津と中華に舌鼓をうっている。その頃昇平は篤彦にマリア会へと連れて行かれ歓迎される。集会に集ったメンバーの天使達は大部分が将来国のトップを担うであろう若き官僚達であった。篤彦は昇平にマリア立法を渡し、マリア会一級天使の位を授ける。元々一級天使だった梅津はマリアを守るという新たな任務の為、篤彦の指示によりマリア会を脱退してマリアにくっついていた。

 

 昇平が遂に篤彦の懐へ引き入れられます。準備万端の昇平対策をした大人達の歓迎と特別待遇を受けた昇平は舞い上がります。まだまだ若い高校生の昇平が巻き込まれるには物事が大きすぎ、篤彦は徐々に、巧妙に、マリアの預かり知らぬ所で昇平を絡め取っていきます。そしてマリアに食事を奢り、大いに語り合った梅津。マリアの考えを聞いた梅津は今後どう行動していくのか興味深いところです。

 

VOL.20:梅津の10年

  あらすじ;マリアに永遠の安らぎをという篤彦の悲願をきいた昇平は自分も役に立ちたいと伝え、篤彦は昇平にとってあーちゃんとなる。夜、帰路に着いていたマリアと梅津は、マリアを狙う刺客の襲撃を受ける。梅津が守る間も無く、マリアは刺客を撃退しつつ、銃弾を浴びながらも梅津を抱えて逃げる事に成功する。梅津と寝ぐらに帰ったマリアは梅津に毎日1時間は何があっても起きない絶対睡眠があると告白して眠りに落ちる。

 

 篤彦は昇平にあーちゃんと呼ばせ、強い絆を作る事に成功します。それはマリアには絶対秘密の関係です。秘密の共有は更に人を裏切りにくくさせます。マインドコントロールの一つと思われます。そして梅津はマリアの驚異的身体能力を初めて目の当たりにします。更に梅津を信頼し、無防備に眠るマリアへの欲望と理性と任務の間で激しく葛藤する梅津の姿は心に突き刺さって来るものがあります。

 

VOL.21:マリア立法

  あらすじ;マリア会が終わり、篤彦は一人ピアノを弾きながらこれからの未来に思いを馳せる。翌朝久々によく寝たマリアは就寝中の梅津を残して銭湯へ訪れる。そこで見知らぬ女に3年前から容姿が変わらない事を指摘され、浅草も離れ時かと感じる。一方十文字一家はオフィスで会合を持ち、長男と篤彦は他の者と物別れに終わる。橋に佇み自分の考えを整理していた梅津は人の心の声が不意に聞こえて当惑し、昇平は篤彦にもらったマリア立法を授業中に読み耽っていた。

 

 マリアと梅津、昇平と篤彦の間で新しく状況が動き始めています。数回の場面転換を通して篤彦、マリア、梅津、昇平の様子がそれぞれ描かれています。特に昇平の取込みに成功した篤彦には輝かしい未来展望が広がっているようです。篤彦の隙のない容易周到さに驚嘆するばかりです。幼い頃から不幸続きの昇平にマリア立法は魅力的に見えた事でしょう。そしてマリアにくっついていたが為、梅津に新たな能力が芽生えたようで、今後の展開がますます気になります。

 

VOL.22:天使候補生の正体

  あらすじ;マリアは梅津に防弾チョッキ2つとピストル2丁の入手を依頼する。一方昇平は下校時、以前返り討ちにした不良に1年の頭をやってもらうよう依頼されたのをスルーして、いつもの場所へ篤彦に会いに行く。篤彦にマリア立法を読んだか問われた昇平はマリア立法に賛同の意を示し、マリア会について更に詳しい中身や今後の活動展望などを篤彦から聞いて圧倒される。そしてマリアとの待ち合わせ場所へ行きマリアに会うと、激しくマリアを求めた。

 

 篤彦の国作り計画が昇平に語られます。物事を達成する為にはどうアプローチをかけていけば良いか、良くも悪くもとても参考になるお話です。更に昇平が篤彦に取り込まれて行く過程はマインドコントロールや詐欺の手法と通ずるところがあり、こちらも大変勉強になります。人生でその様な機会が訪れない事を願って止みませんが、もし遭遇した時のため、肝に銘じておきたいものです。

 

VOL.23:梅津とあーちゃん

  あらすじ;交わった後もマリアは疼きが収まらずに再び昇平を求める。篤彦はマリア会を脱退したはずの梅津に緊急要件で会の談話室に呼び出され、天使候補生によるマリアの警備を求められる。昇平がいるので必要ないと突っぱねた篤彦だが、冷静を欠いた事を反省して梅田の要望を考慮する旨伝える。別れ際、梅津は肩に置かれた篤彦の手から篤彦が笑顔の裏で梅津を役立たずと罵る声を聞く。

 

 今回も篤彦を通して人を騙す人間というものを知る事ができます。本心を覆い隠して、人間はいくらでも笑顔で人当たり良く接する事が可能なのだと教えてくれます。新しく開発された能力で梅津は篤彦の本心を知る事ができましたが、その前の篤彦の思惑を探ろうと行う梅津の篤彦へのアプローチは素晴らしいものがあり、その後に続く電車内での梅津の考察も大変読み応えがあります。

 

VOL.24:20歳の再会

  あらすじ;マリアが昇平宅を訪ればあちゃんと3人で団欒していた頃、篤彦は1人自宅で子供の頃のマリアとの思い出の品を見つめていた。篤彦は10歳でマリアと別れてから10年後の20歳になった1984年、今のマリアとすれ違った。マリアは上野の公園で戦争の被害に遭った人間を描いていた貧しい画家に興味を持ち、何日間か通い続けて色々話をしていたが、ある夜マリアから誘い公園の片隅で交わった。若き日の篤彦は一部始終をずっと覗き見ていた。

 

 篤彦のマリアへの常軌を逸した心酔ぶりが描かれています。マリアはマリアの興味や欲望に従って行動しますが、篤彦にその様な事は関係ありません。篤彦には強固に築き上げたマリア像があり、それは自分の願望に基づいたマリアです。自分に都合が悪い部分には激しい拒否反応を示します。人間の歪んだ思想がどう培われて行くのかもこの作品を通して知ることができます。

 

あばれん坊の華麗なる休日1:とりあえず上野

前回までは取材についててましたが、今回から休日の過ごし方が描かれています。休日に出歩くという行動も、漫画作成の上でアイデアなどが浮かぶキッカケとなったりする事がわかりたす。