comicbird’s blog

備忘録として我が家所蔵の漫画を全て記録しておこうと思いつき、始めました。

動物のお医者さん第6巻 佐々木倫子氏

第一話:雨の日の病院

  あらすじ;6月、雨の日の病院は暇だった。 熱燗でしるこドリンク缶に舌鼓を打っていた漆原教授は、雨の日のアンニュイな気分を吹き飛ばすべく午前中で診察が全て終われば「皆に昼飯おごる」宣言を出す。これまでにない程漆原教授の人気は高まり、全員一丸となって仕事に励むこととなる。

 

 冒頭で出てきたしるこドリンクを何とも鮮やかにオチに活かしきるという佐々木氏の才能が冴え渡る回です。北海道に梅雨はないとはいえ、雨の日が多めな印象はあります。そして6月は天気が悪ければまだまだ寒い。ストーブは十分に出番があります。6月の北海道はまだまだ肌寒い、しるこドリンク、ストーブで温める。これらを組み合わせるセンスに脱帽です。

 

第二話:蠅取紙とミケ

  あらすじ;主人公ハムテル宅にてミケが蠅取紙にまみれているところを発見された。家に蠅取紙はないため、外でくっつけてきたようだ。ハムテルの祖母は以前ミケがスルメを獲ってきた安達商店でやられたのではと推理する。今後のごたごたを回避するべく祖母の指示でハムテルと友人二階堂は安達商店へスルメ代を支払いに行くことになった。

 

 姐さん気質でいつも頼りになるミケ。今回はミケの黒歴史です。蠅取紙に果敢に2回挑み、2回とも失敗したミケ姐さん。くっついた蠅取紙を取ってもらって毛並みも心もボロボロとなりました。

 もう一つ特筆すべきは安達商店の店主さんです。ほぼ今回のみの登場ですが、その強烈なビジュアルは今回だけにするにはもったいなさすぎます。 

 

第三話:チョビの遭難

  あらすじ;日曜日、チョビの散歩で主人公ハムテルはお山の頂上を目指した。一緒にいた友人二階堂が山道登りにギブアップしたため、チョビには待っててもらい、2人はロープウェイで頂上まで辿り着いて景色を楽しむ。すると俄かに、雷雨となった。天候が回復してから2人が下りた時にはチョビの姿はなく、雷でパニックになってつないでいた枝を折って逃げたようだ。2人のチョビ探しが始まる。

 

 普段は表情に全く出ませんが、ハムテルがチョビをとても大切に思っていることがよく伝わってくる個人的には大好きな回です。結局チョビは自力で帰ってきましたが、見つからなければハムテルはいつまでもチョビを探し続けたでしょう。そしてチョビの賢さにも感心します。最後に雷に似た音に怯えまくるチョビは最高に可愛いのです。これは、後のお話でも活用されます。

 

第四話:菱沼さんの運転

  あらすじ;獣医学部で事故を起こした人物が学生にもみくちゃにされるのを尻目に、菱沼聖子氏は主人公ハムテルと友人二階堂、チョビを伴って菅原教授の外国からくるお客様を迎えに行くため、菅原教授の車を出す。菱沼氏の神がかった運転技術により、辿り着いた先は霧で霞む初めての場所。無事お客様を菅原教授の許へ送り届けられるだろうか。

 

 冒頭で医学部関係の学生を出し、習った応急処置を試したくてウズウズしている彼らを最後の落ちに結び付ける見事な流れを見せてくれます。菱沼さんの壊滅的な運転も堪能でき、人が道に迷う一つのパターンを紹介してくれています。それにしても菅原教授は菱沼さんの運転の腕を知っていただろうに、彼女に頼まざるをえないのっぴきならない事情があったのだろうかと気になるところです。

 

第五話:ひまわり乗馬倶楽部再び

  あらすじ;1年前と同様、主人公ハムテルと友人二階堂にチョビは夏休み、ひまわり乗馬クラブへ再びバイトにやってきた。相変わらずのオオニシキ号とリュウセイ号に加えて今年はセイラムライト号という馬がいた。セイラムライト号は雄だが自分より小さな馬に性別不問で惚れまくる。ハムテルと二階堂はリュウセイ号がセイラムライト号より少々小さいことに気づいた。

 

 メインはセイラムライト号で、人でいうとバイセクシャルの設定です。馬の世界ではよくあることなのでしょうか!不明です!!また、惚れっぽいとなると雌がいたら大変ですし、雄たちだけでも油断なりません。様々な個性を持つ馬に振り回される人々。動物を扱う仕事は面白そうだけれどつくづく大変であると痛感するお話です。

 

第六話:スナネズミの気持ち

  あらすじ;主人公ハムテルは自分のスナネズミと同級女学生石田氏のスナネズミ、ウイちゃんがあまりに違うことにショックを受けた。そしてハムテルは夏休みの残りをスナネズミの研究に充てることにした。美しい色とふわふわ毛並、滑車を回す才能、何より石田氏とウイちゃんのコミュニケーションの充実ぶりに憧れを感じつつ、祖母と友人二階堂、菱沼聖子氏と一緒に色々試してみるハムテルであった。

 

 スナネズミについて知識が再び増えてしまいます。出身地、砂浴びの習性などどこまで詳しくなってしまうのでしょうか。また、複数と単体飼いの違いも興味深いところです。家の中で飼われる小動物はほぼ一生その家の中で過ごすわけで、1対1だとより親密にはなりやすいのでしょう。しかし、いつのまにか菱沼さんが当然の如くハムテル家を訪れるようになっているとは!すっかりファミリーです。

 

第七話:菱沼氏とニャオン

  あらすじ;大抵の動物に嫌われ、飼い猫のフクちゃんも帰ってこない菱沼聖子氏。近所の猫ハナちゃんにも全く懐かれない中、奇跡的に触らせてくれる猫が現れた。フクちゃんを気にしつつもニャオンと名付け、数々の触れ合いを楽しむ菱沼氏。しかし、ある日パタッとニャオンの訪問が途絶え自宅で危惧していたところ、どこからかニャオンの声が聞こえてきた。

 

 菱沼さんと新たな猫との出会いを描くハートフルな回です。菱沼さんと近しい猫はこれで3匹となり、まあ何と三者三様。フクちゃんのツンデレに少々寂しい思いをしている菱沼さん。触らせてくれるニャオンを放っておけないのはもっともです。そして、ハナちゃんとの別の意味での触れ合いも興味深いところです。今回菱沼さんのハートを射止めたニャオンですが、人によってはフクちゃんやハナちゃんがお気に入りになったりするのでしょう。

 

第八話:獣医学会の発表に向けて

  あらすじ;現在主人公ハムテル達は半年前、漆原教授に押し付けられた獣医学会の発表準備に追われていた。修羅場と化し、絶望を感じつつも只黙々と学会の原稿書きを進めていたハムテルに祖母が救急車で運ばれたと連絡が入る。命に別状はなく症状も落ち着いたが、学会参加は難しくなった。すると、漆原教授なら発表可能では、という提案が持ち上がる。果たして漆原教授はきちんと発表できるのだろうか。

 

 漆原教授の傍若無人ぶりがどんどん加速していきます。高屋敷助教授も再登場し、ハムテルを頼もしくサポートします。漆原教授の下で散々被害を受けてきた高屋敷教授のキャラが光る回です。菱沼さんも当然の如く参加しており、確か別の講座所属の筈ですが、病院講座にも在籍しているかのような存在感、プラス働きぶりです。さらに今後ちょくちょく登場する漆原教授の持ちネタ”自習”初登場となります。

 

第九話:漆原教授の天敵

  あらすじ;混雑している動物病院を縦横無尽に動き回る漆原教授。周りに平等に多大なる迷惑をかけて独走状態である。だが常連の老女、加藤氏に漆原教授は苦手意識を感じているようだ。漆原教授の周りの者たちは、加藤氏を参考にして漆原教授の被害を減らすべく分析を始める。

 

 引き続き無双の漆原教授。今回は漆原教授と菅原教授の若かりし頃のエピソードを知ることができます。前回登場した漆原教授の持ちネタ”自習”は青春時代から行われている年季の入ったものだとわかります。そんな恐れを知らない漆原教授の調子を狂わせる老女、加藤さん。何とも興味深い人物です。加藤さんの飼い猫すみっこもいい味を出しています。

 

第十話:おそろしい犬カリンちゃん

  あらすじ;ある日主人公ハムテル宅に食べ物を物欲しそうに凝視する犬、カリンちゃんが訪れる。ハムテルの祖母によると、カリンちゃんに食物を与えると足繫く通われて食べ物をもらえるまで諦めないそうだ。しかし数日後、飼い犬チョビにあげようとした竹輪をカリンちゃんに食べられてしまい、ハムテル宅もカリンちゃんの餌場となる。

 

 首輪抜けまでして食べ物を求めてさまよい歩く瘦せの大食いカリンちゃん。人間にも食べても食べても太れない人が存在します。特別運動しているわけでもなく、たくさん食べているのに太らない人はカリンちゃんのようにお腹の中に何かしらトラブルがあるのかもと勘ぐってしまうお話でした。

 

making ofパート6

 作者佐々木倫子氏の妹さんと動物の触れ合いについて紹介されたエピソードです。

さすが佐々木氏は家族を紹介する時も素晴らしい感性で笑いを届けてくれます。因みに妹さんは何度となくエッセイ漫画で登場していますが、その度に髪型も変わり、なかなかお洒落な方のようです。また、お二人の仲の良さもうかがえます。