comicbird’s blog

備忘録として我が家所蔵の漫画を全て記録しておこうと思いつき、始めました。

動物のお医者さん第5巻 佐々木倫子氏

第一話:西根家の年末

  あらすじ;主人公ハムテル宅である西根家は普段、祖母とハムテルのみで暮らしており、正月など時々両親の絹代さんと祥平さんが帰省する。年末年始におせち料理くらいしか作らない西根家で、年始の唯一の行事は家族麻雀である。通常麻雀と違い女性陣に遥かに有利となっている西根家家族麻雀。戦意喪失気味男性陣にも緊張感を持たせるべく、最下位には積もりつくした玄関と屋根の雪下ろし労働を絹代さんが提案。最終決戦が始まる。

 

 ハムテルご両親が丸々1話出ずっぱりの回です。今までちらほらしか登場していなかった絹代さんと祥平さんの性格や西根家のパワーバランスなどを麻雀の軽い解説と共に存分に紹介しています。

 佐々木倫子氏の漫画は大体女性が圧倒的に強く、男性陣を振り回します。おばあさんと絹代さんも例外ではありません。

 

第二話:菱沼さんの帰省

  あらすじ;締切が過ぎた論文に追われる大学院生菱沼聖子氏にも束の間の冬休みがあり、実家へ帰省した。実家の飼い犬源三は菱沼氏を忘れていたが、思い出すとすかさず腹を見せて『降参』し続ける。昔はむしろ菱沼氏を馬鹿にしていた源三。いつから絶対服従するようになったのか菱沼氏は記憶を手繰り始める。

 

 菱沼さんの家族構成が明らかとなり、兄以外は一堂に会します。今回は源三にスポットが当たっています。異常なまでに腹を見せて降参し続ける源三。原因やら過程やら考えるのが大変そうなこのテーマ。それでも一話作ってしまう佐々木氏の手腕を感じるお話となっています。

 

第三話:牛の出産

  あらすじ;冬休みが終わった主人公ハムテルと友人二階堂。いつもの吹き矢作りで残業中である。帰ろうとしたところ、繁殖講座の同級生阿波野氏より牛の出産手助けを依頼される。先輩は後で来るものの、教授も不在の中、新人のみという大変頼りない布陣にて、さらに繁殖講座への勧誘ビデオも撮影する目論見付きでベテラン牛ももちゃんの出産へと挑む。

 

 今回は阿波野さんをメインとし、清原氏、中川氏が登場します。阿波野さんは大正ロマン風のおかっぱ頭で、やはりなかなか自己主張の強い味のあるキャラです。清原氏は今まで大分紹介されていますが、中川氏は現段階では姿のみで名前などは後のお話を待つ必要があります。牛の出産と共にキャラ紹介も済ませてしまう一石二鳥な回です。

 

第四話:試験を乗り越えよう

  あらすじ;試験シーズンが到来し、学生達はあの手この手で単位をもぎ取ろうと画策する。カンニングは漆原教授に完全にブロックされ、残るは菅原教授のレポートのみ。それまでの試験対策でボロボロの学生達だったが、最後の望みをかけて、賄賂のチョコレートと共にレポートを提出しようとする。

 

  このお話では学生と教師両方の目線から試験シーズンを楽しめます。学生は試験勉強そっちのけで楽に受かる方法を全力で探り続け、教師陣は学生の毎年繰り返される別ベクトルの努力を慮りながらも、合格の線引きをどこにするか思い巡らせます。

主人公ハムテルを除く学生達が絞り出した様々な試験対策、それを迎え撃つ教授陣。見どころ満載です。

 

第五話:菱沼さんのお見合い話

  あらすじ;春、講座生が卒業していく中、引続き大学に居座る予定の菱沼聖子氏。4月になればオーバードクターとなり、学生ではなくなる。そんな菱沼氏に母と菅原教授からそれぞれお見合い話を持ち込まれる。始めは興味もなかったが、流石に多少は将来について考えていたところ、菱沼氏の父が救急車で運ばれたと連絡が入る。

 

 菱沼さんが将来についてちょっとだけ悩む回です。

 収入の保証もなく、一人で暮らしていくには世知辛い世の中です。さりとて、四六時中将来のことばかり気にするのも疲れ果てます。時々スパイスのように日常をかき回す出来事が起きて人生が変わったり、そのままだったりするのだろうなぁと感じるお話です。

 

第六話:動物園での実習

  あらすじ;春休み、動物園で実習させてもらっている主人公ハムテルと友人二階堂。様々な動物のお世話ができたが、類人猿はまだである。聞くと、猿達に選ばれた人々でなければとても務まらないと言う。しかし、インフルエンザにより、類人猿の担当者が全て休んでしまった。残った園長と共にハムテルと二階堂は類人猿のお世話に挑む。

 

 佐々木倫子氏の取材能力を如何なく発揮した回と思われます。動物園の裏側の苦労や日常を、特に癖のあるらしい類人猿をメインに据えてにぎやかに紹介しています。

 類人猿だけではなく他の動物の特徴も知ることができ、タメになりますし、

 動物園の職員の方々に敬意を払わずにはいられません。

 

第七話:ミケとガブリエル

  あらすじ;主人公ハムテル宅に同級生中川氏の飼い猫ガブリエルが滞在している。ハムテル祖母の飼い猫ミケに行儀を習いたいという依頼だったが、実はガブリエルを近所のボスにしたいがための弟子入りということだった。真相を知り、行儀作法を自らも正しながら一生懸命教えていたミケは激怒し、その日からガブリエルへのスパルタトレーニングが始まる。

 

 ハムテルの同級生中川氏名前初登場です。メインはガブちゃん(ガブリエル)で、猫社会のしきたりなどの紹介もされています。また、ミケも様々な表情や心情がより豊かに描かれてますます姐さん度合いが増しています。ますますミケから目が離せなくなる回です。

 

第八話:獣医学部に秘書を

  あらすじ;一度慣れてしまったら獣医学部では生きていけなくなるほどリッチな応用電気研究所。その存在を主人公ハムテル達から聞き出した菱沼聖子氏は掘出し物を見つけるべくゴミ漁りをしていると、その研究所に秘書がいることを知る。さらに獣医学部にも秘書がいたという情報が入り、日々貧乏と闘いながら、研究の合間に秘書の仕事もこなす学生たちは獣医学部に秘書を取り戻すべく活動を始める。

 

 大学学部の格差を描いた回となります。潤沢なる資金を得ることができる応用電気といつでも予算ぎりぎりの獣医学部。その基準はどう決められているのか気になるところです。しかし恵まれているより、逆境を上手く利用してこそ能力がより培われ、発展の可能性があるのではないかと思う最近です。菱沼さん達はちょっとズレているようですが、それもまた魅力の一つです。

 

第九話:病院に来る動物

  あらすじ;主人公ハムテルと友人二階堂は、日々敵意むき出しの動物を相手に生傷が絶えない。ある日珍しく、獣医が大好きという患畜クルタンが訪れる。二人はにわかに信じがたかったが、特に漆原教授にはチビるほど喜んだ。だが獣医なら誰でもいいわけではないらしい。ハムテルと二階堂はクルタンの獣医への態度の違いについて考察を始める。

 

 日頃嬉しい出来事を願っていながら、嫌なことばかりだといざ願った状況になっても素直に受け止められないものです。ハムテル達は猜疑心の塊となり、漆原教授は喜ばれて上機嫌です。結局クルタンは怒りを爆発させることとなりますが、そこに至るまでずっと精神状態がマイナスだったハムテル達と一瞬でもいい気分になった漆原教授。これを足して2で割ったような思考回路ができたら、良い毎日を送れそうだと感じたお話です。ちなみにクルタンは目がクリクリきらきらで大変可愛らしいです(#^^#)

 

making of パート5 映画『小鹿物語』取材記

 『動物のお医者さん』では特に小鹿を直接題材にしたお話はなかったと記憶していますが、関係あることは積極的に取材するという日々の努力を知ることができます。