comicbird’s blog

備忘録として我が家所蔵の漫画を全て記録しておこうと思いつき、始めました。

動物のお医者さん第7巻 佐々木倫子氏

第一話:5年前のクリスマスイブ

  あらすじ;主人公ハムテルは友人二階堂、チョビ、ミケと一緒にハムテル家の土蔵にいた。二階堂の弟妹にホンモノのクリスマスツリーを見せるため、ここにしまわれているツリーの飾りを探しに来たのだ。本場の舶来物らしいが、極寒の中探し回っても一向に見つからない。すると二階堂が鼠の可能性に気づいて逃げようとするも、土蔵の扉が開かず閉じ込められたと騒ぎ出す。

 

 チョビの子犬時代に起きたエピソード回です。自分の気に入ったものをひたすら拾い集めるチョビ。子犬の頃は可愛さ倍増です。閉じ込められても動じないハムテルと騒ぎまくる二階堂。そして二階堂にネズミの存在を知らせるためだけに来たようなミケ。これらの要素が絶妙に絡み合い、佐々木氏の定番、馬鹿馬鹿しい素晴らしいミステリーとして仕上がっています。

 

第二話:病院講座の大掃除

  あらすじ;病院講座助教授、高屋敷氏の温度で始まった年末の大掃除。やる気皆無の漆原教授をよそに、大金拾得を期待する他講座オーバードクター、菱沼聖子氏も加わって片づけは進む。大トリの漆原教授の机の一掃に取り掛かるが、明らかに隠してあったように見える口紅、さらに漆原教授の奥さんではない美女の写真が本の間に挟まっているのが見つかる。

 

 病院講座は高屋敷助教授で成り立っているのだとよくわかる回です。昔から往々にして上司の尻拭いを延々とする羽目になる、日の目を見ない有能人物は数多いることでしょう。高屋敷助教授が幸せになる日を願わずにいられません。加えて今回は漆原教授の奥様についても初言及があります。後々お姿も拝見できますが、今はお話だけです。漆原教授と言えど、奥様の前では頭が上がらないようです。

 

第三話:ヒヨちゃんが病気

  あらすじ;冬、大学でインフルエンザが猛威を振るっている中、ヒヨちゃんが病気になった。流行りのインフルエンザか、風邪か、はたまた別の病気か…当然の如く漆原教授では判別不可能だ。結局栄養剤のみで様子見となる。せめてインフルエンザか否かを同級生に調べてもらおうとする主人公ハムテルであった。

 

 無敵のヒヨちゃんVS無双の漆原教授。確かにどちらが勝つか、興味深い所です。ヒヨちゃんが病気になり、遂に漆原教授と対面をはたします。治るまでブスブスと乱暴に注射されるがまま、怒りを溜め続けるヒヨちゃん。全快した時の爆発力は流石王者の風格です。これからも西根家の平和を守ってくれるでしょう。

 

第四話:ハムテル、犬ぞりレースと出会う

  あらすじ;雪も積もり、菱沼聖子氏がチョビの引っ張るそりに乗せろと主張してきた。確かに夏、約束したことを思い出した主人公ハムテルは仕方なくチョビに走らせてみると真面目なチョビは必死で走り、想定外の速さに菱沼氏は投げ出されてどこまでも転がっていった。その様子を見ていた見知らぬ初老男性ブッチャーさんが犬ぞりレースにチョビを誘ってきた。

 

 遂に始まりました。後半ハムテルがドハマりする犬ぞりレースシリーズです。佐々木氏もみっちり取材したことでしょう。様々な個性のハスキー犬が次々と登場し、屈指の華やかさです。描く側からみると地獄の回です。さらに今回はチョビが本当に怒る超激レア回!チョビのハムテルへの愛がひしひしと伝わってきます。

 

第5話:犬ぞりレース大会当日

  あらすじ;チョビが緊張でメンタルぎりぎりの中、主人公ハムテル参加の多頭引きの前に犬ぞり師匠ブッチャーさんとリーダー犬シーザーの1頭引き本戦が行われた。シーザーは優勝候補だったが、スピードが出ず入賞も逃す。どうやら人の多さにハイになりすぎて待ち時間に体力を激しく消耗していたようだ。さらにブッチャーさんも犬ぞり歴1年だと判明し、流石に青ざめるハムテルであった。

 

 ハムテルの犬ぞりレースデビューの日です。いつも平静なハムテル。ブッチャーさんがほぼ素人と知った時のショックを立て直す精神構造も見事です。初大会でドキドキの上に予定外のリーダーまでやる羽目になったチョビ。序盤でコケてしまったチョビを優しく励まし、見事完走を果たす様は感動的です。このような精神構造の人が本番に強いのだなと勉強できる回です。

 

第6話:漆原教授のお誘い

  あらすじ;先輩たちが獣医師国家試験を控えてゾンビ化している中、主人公ハムテルは漆原教授にスキーへ誘われたが即行断った。スキーを諦めない漆原教授を尻目に来年の卒業までに北海道の冬を堪能したいと様々な遊びを始めるハムテルの道外出身同級生達。それを横目に漆原教授も独自に冬遊びを始める。

 

 試験勉強に追われゾンビ化している先輩達、間違いなく来年同じ状態になるハムテル達、スキーに行きたい漆原教授の三つ巴です。ハムテル達を同行させたい漆原教授、絶対ごめん被りたいハムテル達、とにかく邪魔しないで欲しい先輩達のそれぞれの感情を見事にまとめ上げた力作回です。一人で行けば良いのに執拗なまでにハムテル達を連れて行きたい漆原教授。意外と寂しがりなのか、雑用係が欲しいのか、いずれにしても迷惑な話です。

 

第7話:菱沼さんの就活再び

  あらすじ;就活期、今年の就職委員は超法規的な手段が取れるかもしれない漆原教授である。オーバードクター菱沼聖子氏にはチャンスの年かもしれない。漆原教授の手腕(❓)により次々と内定が決まっていく中、早急に人手が欲しい企業があった。そこは菱沼氏が去年東京で面接を受けて落ちた会社である。今年は札幌での求人ということで、羨ましく思う菱沼氏であった。

 

 当時は人手不足という状況での就活となります。恵まれた状況とはいえ、この頃でも菱沼さんの年齢、性別などは条件的に不利です。漆原マジックは起こるのか、主人公ハムテルや友人二階堂の進路も気になるところですが、菱沼さんの就活から目が離せません。

 

第8話:白魔の夜

  あらすじ;猛吹雪の夜、漆原教授は主人公ハムテル、友人二階堂、チョビと共に公衆衛生学講座で無菌室を借りるべく仕事帰りの菱沼聖子氏を待っていた。痺れを切らした漆原教授は先に一人で無菌室を使い始める。その頃菱沼氏は近道の途中で降り続く猛吹雪の中、大量の雪に埋まって動けずにいた。

 

 前回めでたく社会人となった菱沼さんの生活ルーティーンがわかります。仕事が終わってからさらに大学で夜に研究…。自分ならば体力が持ちません。また、大量に降り積もる雪は札幌の冬の風物詩です。地域色たっぷりなミステリアス調の回となっています。

 

第9話:近所の犬シロさん

  あらすじ;散歩好きなチョビの主張で予定外の散歩へ出た主人公ハムテルと友人二階堂。近所の犬達を見て回っていた途中、プードル系の奥ゆかしい犬を発見する。シロさんという名で、近所の男性曰く餌を充分与えてもらっていないそうだ。ある夜帰宅途中のハムテル達の前にシロさんが現れ、ハムテル宅までついてきてしまった。

 

  今回はゲストキャラ、シロさんが登場します。フワフワで白く美しい奥ゆかしい犬、シロさん。最初に感じる印象というものは、大分見た目に左右され、そしてそれは決して正しいというわけでも無いものだとわかるお話です。やはり人なり動物なりそれぞれの本質はある程度時間をかけて観察しないとわからないものだと学べます。

 加えて、チョビは普段あまり自分の希望を表現しませんが、散歩に関してはハムテルを翻弄するほど主張することが紹介されています。

making ofパート7

 今回はとても漫画家らしく締切について描かれています。ですが、メインは前回に引き続き佐々木氏の妹さんです。佐々木氏によって妹さんのまた新たな性格が紹介されています。