comicbird’s blog

備忘録として我が家所蔵の漫画を全て記録しておこうと思いつき、始めました。

昭和不老不死伝説バンパイア4 徳弘正也氏

VOL.25:梅津の決断

  あらすじ;昇平とマリアが昇平の部屋で夢中で交わっていると気付けば家の様々な物が浮いていた。翌日マリアは待ち合わせていた梅津から頼んでいたピストルなどを貰う。梅津はマリアと話せば話す程、マリアの考えがマリア会の教義とかけ離れていると感じる。昇平もまだマリアを守れる程の能力に達していない事を知り、マリアに全てを話そうと決める。すると若い男3人がナンパ目的で2人に絡んできた。

 

 梅津がマリアの為に調達した銃2丁が紹介されています。銃に興味が無くても違いがわかり、面白いです。そして梅津とマリアのベンチでも語らいも深く考えさせられます。人にはそれぞれの基準で正義があり、1人で考え込んでいると往々にして極端な方向へ走りがちになる様です。人と交流して他人の意見にも耳を傾けて受け入れる事で緩和され、また良い変化が訪れる事が多い様です。篤彦には残念ながらその機会は無かった様です。

 

VOL.26:人間狩り

  あらすじ;梅津が唐沢に遠くからライフルで撃たれ死亡した。続け様にマリアも何発か銃弾を浴び、止むを得ず梅津を置いて現場より急いで離れる。その頃昇平はいつもの図書館で篤彦の話を聞き、心を読ませてもらい、益々篤彦を信じる。マリアは梅田殺害の犯人を目撃できなかったが、殺害を指示したであろう組織を殲滅すべく、梅津から譲り受けた銃と防弾チョッキを身に付けて襲撃をかける。

 

 篤彦の指示であったか描かれておりませんが、どちらにしても唐沢の殺し屋としての腕が優秀である事が描かれています。自分のリスクは最小限に、相手を思い通りに動かす手腕を見ても明らかです。そして篤彦の昇平への洗脳は更に進みます。お世話になっている図書館の警備員へもケーキを渡すなど、気遣いに余念がありません。人身掌握には欠かせません。昇平への情報開示も上手く調整し、昇平を翻弄します。何とも巧みです。

 

VOL.27:殲滅

  あらすじ;マリアは昇平との待ち合わせを始めて無視し、1人白泉会台東支部事務所に乗り込んでいた。梅津からもらった銃で次々と反撃する所員を撃ち、支部長から白泉会会長の居場所資料を手に入れて、支部から人が集まる前に会長含め共にいた家族などを全員始末した。報告を受けた十文字一家は恐れ慄きパニックに陥った。その中篤彦は1人心の中で歓喜に打ち震えていた。

 

 マリアが本気になった時の凄まじさが描かれています。白泉会はそれなりに悪い組織ではありますが、気の毒感も多少はあります。トップを容赦なく全て潰して組織を壊滅させる事はマリアが遥か昔から何度となく繰り返してきた様で、とてもスムーズです。残して良い雑魚の見分けも素早く無駄がありません。会長宅を襲うにも時間との勝負である事を熟知しており見事です。この一連が淀み無く、解りやすく描かれていて感動します。

 

VOL.28:唐沢の正体

  あらすじ;笑いが止まらない篤彦は待っていた唐沢に真相を告げられ衝撃を受ける。自分の預かり知らぬ所で思わぬ行動をしていた唐沢に篤彦は銃を向け、何者であるか問いただす。唐沢からは篤彦の詳しい経歴、そして篤彦が把握している以上の情報が語られた。更に篤彦が決して他人に語ることの無かった本音を言い当てられ、篤彦は改めて唐沢に何者であるか尋ねる。

 

 題名通り、唐沢の正体が明らかとなります。今までは圧倒的に篤彦と言う人物の狂気ぶりが描かれていましたが、上には上がいると言う事を描いています。常にマウントを取り、誰に対しても余裕があった篤彦ですが、一気に小物と化します。唐沢の情報開示の流れも見事です。事実調査能力だけで無く、篤彦の内面にまで食い込む分析能力は圧巻です。世の中で強者として勝ち残って行く為の全てがあると感じます。

 

VOL.29:コモンセンス社とマリア会

  あらすじ;唐沢が世界第2位の軍需大会社コモンセンス社の武器商人であると告げられた篤彦。マリア会との取引を打診され悩んだ結果コモンセンス社と手を組む事を決める。唐沢は篤彦がマリアに殺された彼の実の母、叶密子と同じ行動をしていると指摘する。一方河原で陽が沈むまでマリアを待っていた昇平は何かが起こったと悟り、自分の無力ぶりを痛感する。そして唐沢の指摘に苦悩する篤彦の前にマリアが現れた。

 

 唐沢が本領を発揮して更に面白くなってきます。自分では気付かない篤彦の深層心理が暴かれ篤彦は更に苦悩します。人間は自分に都合が悪い本音には目を背けたいが為に、時には自分までも欺きます。それでも自分の真実と向き合わねばならなくなった時、もがいてもがいて理解し受け入れた時は人生の新たな一面が開ける様です。唐沢に秘密の扉をこじ開けられた篤彦。彼にその様な時は来るのでしょうか。

 

VOL.30:消えたマリア

  あらすじ;陽がとっぷり暮れても昇平は河原でマリアを待っていたが、ばあちゃんの迎えで帰宅し、翌朝のテレビで白泉会会長一家の殺人犯としてマリアが指名手配されたと知る。篤彦は5年前の唐沢との初対面を回想し、始めから唐沢の的となっていた事を痛感する。ならばコモンセンス社の力を利用しようと改めて決意を固める。その頃マリアは梅津の形見となった携帯を携え、人も踏み入れぬであろう山奥を目指していた。

 

 何も知らせず昇平の前から消えたマリア。篤彦にはマリアの行き先が予測できましたが、昇平は報道されるニュースしか手掛かりはありません。能力開発が間に合わなかった悔しさや、また会えるのか分からない不安が伝わってきます。しかしマリアは大自然の中で独り、ただ昇平の幸せを願っていました。2人の心情がとても切なく心に沁みます。そして篤彦の唐沢との回想には、狙った人間の懐へ入り込む戦略の極みが描かれています。

 

VOL.31:マリアの行方

  あらすじ;昇平はいつもの図書館で篤彦からことの顛末を聞き、改めて何も出来なかった事を悔やむ。マリアが戻ってくるなら何でもすると言う昇平に、篤彦は改めてマリアを神とする国作りへの協力を求める。その後篤彦はマリア会の会合でコモンセンス社との協力を提案して天使達の承諾を得る。一方夜床に着いていた昇平は篤彦が掲げようとしているマリアは現実のマリアと違う事に気付いていた。

 

 前半の篤彦の表情による心理描写が秀逸です。昇平が階段を上がってくる時の緊張感で、今回が篤彦にとって如何に昇平を思い通りにする為に重要であるか伝わってきます。すがる様にマリアの今後を聞く昇平に、篤彦は笑顔で心配無い事を説明します。話を進める程に目は見開き、口角はこれ以上無い位上がります。篤彦にとって正念場である事が否が応でも解ります。そして昇平の反応をじっと待つ篤彦。時間がとても永く感じた事でしょう。本当に素晴らしい描写で圧倒されます。

 

VOL.32:新しい天使たち

  あらすじ;唐沢は自宅で改めてマリアの弱点を確認していた。唐沢が所属するコモンセンス社は5年に渡り密かに“バンパイア捕獲作戦”を展開し、マリアを捕獲場へ来させる事に成功した。そしてマリアを24時間監視し、捕獲の準備を進める。一方居ても立っても居られなくなった昇平は高校を抜け出し、それを予期していた篤彦に連れられて陸上自衛隊員達が新たにマリア会の二級天使に任命される場に同席する。

 

 今回はコモンセンス社もマリアを狙っていた事が明らかになります。少々注目したいのは冒頭唐沢自宅と思われる部屋です。世界的大企業の社員が住むには余りに大衆的です。世間に溶け込み、目立たず、いつの間にか根こそぎ情報を奪う。唐沢が如何にプロであるか解ります。この強大な組織と互角に渡り合おうとする篤彦。篤彦の理想と自分の願いが全く違う事に気付いた昇平。お話は困ってしまう程盛り上がってします。

 

暴れん坊の華麗なる休日2  銃じゃあー

お馴染み巻末エッセイ漫画です。休日でも漫画用資料収集に勤しむ様子が描かれています。日々の不断の努力が傑作を生み出すのだと感じる次第です。