comicbird’s blog

備忘録として我が家所蔵の漫画を全て記録しておこうと思いつき、始めました。

動物のお医者さん12 佐々木倫子氏

 



第一話:カラスvs漆原教授

  あらすじ;4月下旬、昨年と同じ木にカラスの巣作りが始まった。今年は撤去する事になり、漆原教授自ら巣を撤去した。しかしカラスは諦めずに新しい巣を作って4回の攻防の末、カラスに軍配が上がり卵が産まれてしまった。カラスはその後漆原教授を狙い撃ちするが、漆原教授の反撃が始まる。すると漆原教授だけではなく、漆原教授に似ている人も攻撃されるようになってきた。

 

 2巻にも漆原教授vsカラスはありましたが、今回はもっとガッツリバトルします。今回のお話でカラスの子育て期間は大体1ヶ月である事を学べます。漆原教授が本気になればなるほど周囲に広く深く迷惑がかかっていきます。何時も心のままに行動する漆原教授。周りの人の人生スキルは否が応でも上がっていきます。

 

第二話:二階堂の修行

  あらすじ;修行先は自分で見つけると決意した二階堂。やっと見つけた動物病院は入った途端、院長夫婦が救急車で病院送りとなる。まだまだ多くの患畜が残る中、文字通り自力で修行する事となった。泣きながら漆原教授に電話で指示を仰ぎ、常連の患畜飼主達と力を合わせて奮闘する。

 

 獣医医師修行二階堂編です。何事も一筋縄では行かない運命の二階堂。今回も当たり前のように追い詰められ、頼れる人は結局漆原教授しかいません。ほぼほぼ漆原教授の指示で1日乗り切ります。普段はやりたい放題の漆原教授ですが、やはりキャリアを積んではいる獣医師なのだとわかる回です。

 

第三話:菱沼さんの親戚前編

  あらすじ;ハムテル、二階堂、チョビは菱沼氏の付き添いで札幌から車で5時間かかる菱沼氏の親戚が多い地区へとやって来た。菱沼氏の用事は叔母の見舞いだが、酪農を営んでいる菱沼一族の為、ハムテル達は当然の如く翌日サイレージの手伝いをすることになった。しかし親戚の家に泊まったその夜、牛が全頭脱走する事態が起こる。

 

 舞台は酪農盛んな十勝地方と思われます。今回は酪農家族の日常などが描かれています。第一産業では家族経営がまだまだ多そうですが、世代間の考え方の摩擦が起きる事もままある様で、そんなお話も盛り込まれています。昔と今のやり方はどちらも一長一短あり、上手に両方の良い所を取り入れるというのはどの分野にも通ずる永遠のテーマである気がします。

 

第四話:菱沼さんの親戚後編

  あらすじ;ハムテルと友人二階堂は只今絶賛サイレージ中である。他の親戚総動員で親戚全てのサイレージを行う予定だ。休憩中の菱沼一族は一種異様な雰囲気の菱沼時間が流れる。そして、菱沼氏がサイレージについて色々提案すると親戚一同は火がついた様に提案を却下する。あまりの剣幕にハムテルと二階堂は理由が気になり出した。

 

 酪農家である菱沼一族を通して牛の食糧となるサイレージ作業が紹介されています。オレンジの香りがする草は一度嗅いでみたいものです。そして菱沼一族の特異体質はこの大自然の中で育まれたのだと推測できます。今回は菱沼さんの子供時代の所業も描かれています。伝え方は充分考慮する必要がありますが、悪気は無くても良くない事はきちんと伝えないと改善されないのだと学べるお話でした。

 

第五話:祖母と西町家畜診療所

  あらすじ;ハムテルの同級生だった清原氏達4人が共同で獣医開業するという。するとハムテルの祖母は俄然開業に乗り気になる。競合するのが近所の西町家畜診療所だ。祖母は乙女時代から西町家畜診療所を敵視しており、頼まれもしないのに西町家畜診療所への偵察を名乗り出てチョビと共に訪れる事となる。

 

 獣医開業に必要な準備とおばあさんが西町家畜診療所を毛嫌いする様になった経緯が紹介されています。おばあさんの乙女時代は大変な美人です。しかし、中身はほぼ変わっていないようです。自分のペットに異常があると必死になって解決しようする愛情たっぷりのおばあさん。その際一呼吸できる様になると理想的な飼い主となりそうです。

 

第六話:乳歯と永久歯

  あらすじ;ハムテル達が大学入りたての頃、チョビは顔の怖さから遊び相手に恵まれなかったが、歯のない犬を祖母が拾ってきた。迷い犬の広告にも成犬のみで仔犬がいなかった為、世話をする事になった。チョビは大喜びで連日一緒に激しく遊ぶ。そしてこの頃チョビの歯が生え変わり始めるが、拾ってきた犬は一向に歯が生えない。ハムテル達は違和感を感じ始める。

 

 チョビの歯の生え変わりを病気と勘違いした初々しいハムテル達のお話です。知識としては頭に入っていたのでしょうが、実際に目の当たりにしないと案外気付かないものだとわかる良い例の様な気がします。歯のないポメラニアンと新しい歯が生えたチョビの比較という体験は知識定着に何物にも勝るモノだったのではないでしょうか。

 

第七話:中川氏の職場

  あらすじ;九州の学会に参加したハムテルと二階堂は午後が空いたので、同級生だった中川氏の勤めるカンガルーワールドを訪れる。その後同じく学会に来ていた同級生の阿波野女史と清原氏と共にガッツリ手伝いをする事となったが、勝手知らぬ故トラブル続き。カンガルーのボス対決発生の事態となった。人間が敵うはずもないが、流血を避ける為ハムテルは妙案を思い付く。

 

 札幌出身の中川氏。九州へ就職した様です。遥か遠い地で奮闘する中、ハムテル達と会えたのは嬉しかった事でしょう。加えてまたとない労働力です。しかし、ほぼほぼ予備知識の無いハムテル達。仕事を手伝ってもらうには、説明をある程度する必要があることを今回中川氏は学んだのではないでしょうか。人生とは失敗を繰り返して経験値が上がっていくのだと気づくことができます。

 

第八話:銀杏の季節

  あらすじ;夜通しコンパの帰り道、夜明けの銀杏並木でハムテルと二階堂は真剣に銀杏採りに勤しむ集団を見た。それを聞いた漆原教授は自身も銀杏を採ろうとするが大学構内は競争率が高く、車2台で郊外へ出る。途中昼食用に仕出し屋から人数分弁当をかっぱらうがそこは漆原教授の実家で、朝方銀杏を拾っていた集団はそこの従業員だった。

 

 漆原教授、ご家族に続いて実家登場です。子供時代から食べ物で激しい攻防を繰り広げてきた従業員の料理長と大学構内で銀杏獲得対決となります。先に仕出し弁当を8個かっぱらわれ敗北を喫した料理長。しかし、長年知り尽くしている銀杏に関しては圧倒的に有利です。2人はこの先も一進一退の闘いを続けていくのでしょう。因みにこのお話で収穫した銀杏はすぐには食せない事を学べます。

 

第九話:ハムテルと開業前編

  あらすじ;最近ハムテルの祖母はやたら開業の催促をしてくる。以前聞いたハムテルの同級生達の開業に触発されたようだ。まだまだ大学をやめる気のないハムテルに構わず、周りはどんどんハムテルに開業プランを提案して来る。そんな中、友人二階堂は自分がいつまでも一緒にいたらかえって足手まといになるのではと悩み始める。

 最終話は2話構成で、今回は前編です。何時も自分に自信を持てず苦悩した挙句流され、選択を間違えしてきたハムテルの友人二階堂。フィナーレに向けて素晴らしい波乱を巻き起こしてくれます。そして周囲の迷惑なまでの盛り上がりに乗せて、開業するには様々なハードルがあり、準備に追われる事が紹介されています。

 

第十話:ハムテルと開業後編

  あらすじ;漆原教授に紹介された二階堂の勤め先が近所の西町家畜診療所だと発覚。その事実を最後に知るのは二階堂であった。断れず二階堂はズルズルと西町家畜診療所で働き始める。ハムテルも1人では開業の踏ん切りがつかず、更に漆原教授の病院はハムテル1人では漆原教授の尻を拭いきれない。業を煮やした漆原教授は二階堂を取り戻すべく行動を開始する。

 

 最後までドタバタと賑やかです。ハムテルや二階堂の苦悩など何のその。周りの自己主張の固まりな人々が勝手に行動し、話をどんどん進めて行きます。何とも有難く迷惑な話ですが、ハムテルと二階堂だけでは一向に話が進みません。そう考えると迷惑なくらい状況を掻き回してくれる人がいる環境は、2人にとってある意味恵まれているかもしれません。これからも周りの人々に振り回され充実した日々を過ごすことが予想されます。

 

making of 12

今まで佐々木氏の元に届いた数多くのメッセージが次々と紹介されています。取り上げるメッセージのセンスが光ります。紹介された人にはとても良い思い出となるでしょう。