comicbird’s blog

備忘録として我が家所蔵の漫画を全て記録しておこうと思いつき、始めました。

動物のお医者さん第4巻 佐々木倫子氏


第一話:ハムテルの初バイト

  あらすじ;バイト未経験の主人公ハムテルに同級生清原が”犬の散歩をする”バイトを譲ってくれた。大小合わせて合計7頭の犬を3時間散歩させるというものだ。様子を盗み見していた友人二階堂はバイトの内容を知ると、散歩時間が長すぎるし、バイト料も相場より高いと不審に思い調査を始める。

 

 動物とかかわる獣医学部らしいバイトで、ハムテルの周りの学生も何かしら動物に関与したバイトばかりです。普通のアルバイト情報誌などには載っていなさそうです。

 今回はハムテルの同級生、清原氏の性格がもう少し詳しく描かれています。漆原教授をより社会に適合できるようにすると清原氏になるのでは、と思ったお話でした。

 

第二話:公園でお花見

  あらすじ;本日は主人公ハムテル所属の獣医学部で公園へお花見となった。和気あいあいとジンギスカンを楽しんでいたところ、カラスに目を付けられ次々と肉を奪われていく。その中で流石の漆原教授は自分の肉をきっちり食せている。このままではカラスと漆原教授にすべての肉を奪われると危惧したハムテル達は漆原教授とカラスを一騎打ちさせようと試みる。

 

 カラスの貪欲さを堪能できる回となっています。昔、周辺で見かけるのはハシブトガラスだけでしたが、最近はハシボソガラスもよく見かけます。上記のような所業を為すのは今のところ間違いなくハシブトガラスだけです。いずれはハシボソガラスもそうなっていくのだろうかと少々悲しくなるところです。

 

第三話:公衆衛生学講座

  あらすじ:大学院生菱沼聖子氏が所属する公衆衛生学講座の貧困ぶりは他講座で拾ったホルマリン漬けの入っていた容器で野花を活けるほどである。やっとお下がりでもらった研究の際に必要な吸光光度計が壊れても、もちろん新調できない。使用させてもらえるところを求めて他講座をめぐる菱沼氏。今回は資金が潤っている伝染病学講座で借りることとなった。酵素も借りようとしたところ、『返す当てあるの?』と絡んでくる全身ブランド女性が現れた。

 

 お金というものは何故か自分の周りにばかり巡っているものです…。

 今回は一方的に菱沼さんをライバル視するセレブ女性綾小路さん初登場です。全身キラキラで自信満々に見える綾小路さん。しかし、全く満足していません。菱沼さんへの闘争心がそれをよく物語っています。貧乏にまみれながらも日々奮闘する菱沼さんの方が充実しているように感じるのは私だけでしょうか。豊かさの質について考えさせてくれるお話です。ちなみにこのお話でフェラガモというブランドを知りました。世間の常識をそっと教えてくれます。

 

第四話:ハムテルと二階堂のバイト~オオニシキ号編

  あらすじ;夏休みに入った主人公ハムテルと友人二階堂は飼い犬チョビを連れて乗馬クラブへ泊まり込みのバイトに来ている。クラブにはオオニシキ号という豪快な馬がいる。オオニシキ号が競走馬時代に怪我をして跳べなくなったと知った二階堂はもう一度跳ばせてやりたいと思い、策を練り始める。

 

 ハムテルが初めて正式に給料をもらうバイトです。今回もまた獣医学部ならではのバイトです。このお話ではオオニシキ号という馬にスポットが当たります。繊細ですらりとしたサラブレッドにあるまじき図体のでかさと大雑把さ。動物はそれぞれきちんと個性を持っており、一緒くたにするものではないと感じさせてくれます。

 

第五話:ハムテルと二階堂のバイト~リュウセイ号編

  あらすじ;バイトの後半戦。馬の扱いにも慣れてきた二人だが所詮は素人。馬達からは馬鹿にされる日々。何とか見返したいと一念発起した友人二階堂はハムテルを巻き込み、白衣を着用して薬品のにおいを漂わせながら獣医を装う。勘違いをした馬たちは逃げ出すが、1頭臆病極まりない馬、リュウセイ号は恐怖の為腹痛を起こしてへたり込んでしまった。

 

 前回の馬は全て規格外のオオニシキ号、今回の馬はとことん臆病かつ繊細なリュウセイ号と全く対照的で、両方の極致を見ることができます。そして日々動物で生計を立てている人々が、日常どのように手間暇をかけてお世話をしているかもわかります。荒々しく雑目に扱う中にも、根底には馬への愛情が溢れていることが感じ取れるお話です。

 

第六話:真夏のハムテル家行事

  あらすじ;主人公ハムテル宅には庭に池があり、夏には育った蛙が旅立っていく。祖母は毎年それを手助けすべく、炎天下に池の縁のコンクリートに水をかけるが、その蛙を毎年ミケが狙う。今年はハムテルと友人二階堂も同席し、蛙がミステリアスだというような雑談をしているうちに、2人は具合が悪くなってきた。二階堂は蛙の毒ではないかと朦朧とする頭で考える。

 

 ハムテル家の季節行事の紹介です。現在は田舎にでも行かないと野生の蛙達に出会う機会はそうはないのではないでしょうか。池で育った蛙。それを狙う猫。事態を見守る犬と人々。昔はよくあった自然の情景が佐々木氏独自のセンスで描かれています。

 余談で、ハムテルの母のガテン系な趣味も判明します。

 

第七話:二階堂の実家

  あらすじ;二階堂一家は父方の祖父母宅がある九州へ帰省していた。何もかも北海道と違う夏の九州に1人だけなかなか慣れない中、二階堂は祖父母の飼い犬ヨークシャーテリア、アンと共に留守番をすることとなる。しばらくしてアンの毛が異様に抜けていることに気づき、動物病院へと走る二階堂であった。

 

 今回は北海道からはるか遠い九州が舞台です。二階堂家総出演で、二階堂が日頃いかに家族に(特に弟妹)振り回されているかわかると共に、九州という地域がどれだけ北海道とし違うかも知ることができます。北海道人に真夏の九州は無理です!と痛感するお話です。

 

第八話:菱沼さんの博士論文

  あらすじ;主人公ハムテル達がそれぞれの夏休みを過ごした間、大学院生菱沼聖子氏は博士論文の締め切りが迫っており、休む暇などなかった。12月までに論文を英語で3本書く必要があるのに、アメリカの研究者がその内の1本のテーマを先に論文で発表したらしいという情報が入る。

 

 そうだ!菱沼さんは研究者だった!!と再認識できる回です。『3本論文を書くのよ』と指を4本出す菱沼さん。だが、研究者としては何やらちゃんとしているらしい菱沼さん。菱沼さんの脳回路はどのように動いているのかますます興味を持ってしまう回です。

 さらに論文発表の内情も知ることができ、そこも見どころです。

 

第9話:新人獣医学部

  あらすじ;今年は獣医学部助教授高屋敷氏が激怒するような男子学生小林氏が入ってきた。ピューラックスを被ったが如き茶色の爆発頭にパンクロックな服装。最初はおしゃれに気を使っている新入生も実習が進むにつれて次々と脱落していく。そんな中小林氏は気高くロックなスタイルを貫いていた。

 

 新キャラ小林君と共に、漆原教授率いる病院講座の助教授高屋敷先生も初登場です。漆原教授のもとで働くとはどういうことかをを今後ともまざまざと見せてくれるであろう注目のキャラクターです。

 そしてお洒落な新入生がどのような過程を経て普通、もしくはダサくなっていくのか紹介されています。

 

第十話:なぜチョビは人を気遣えるか

  あらすじ;主人公ハムテルの飼い犬チョビはシベリアンハスキーで大型で女の子である。ミケと全力で鬼ごっこをして走り回っても人間への配慮は決して忘れない。この心遣いをどうチョビは身に着けたのか。話はチョビの子犬時代へ遡る。

 

 今回はハムテルのおばあさんが頼もしく話を締めてくれます。第3巻の文鳥卵詰まりの回でも素晴らしい手腕を発揮したおばあさん。チョビの躾について思い悩むハムテルを放っておくおばあさん。普段は全く関心を示さなくても、いざ自分の身に降りかかったときの判断力と行動力は称賛に値します。ますます重要度が増していくキャラクターです。

 

第十一話:チップが来る日

  あらすじ;今日はチップが来る日。獣医学部生はほぼ全員チップ獲りに勤しんでいた。そんな中、最近菅原教授率いる公衆衛生学講座のスナネズミの飼育箱に貼ってある個体識別シールを執拗にはがす輩がいたのだが、またしてもシールをはがしたらしい。学部の最優先事項、チップ獲りに紛れて実施した犯人探しが始まる。

 

 第4巻の中でダントツに光り輝く名作です。チップ獲りという一般人はほぼ経験することのないであろう出来事について詳しく紹介してくれています。

チップ獲りに並々ならぬ気合で挑む大学院生菱沼さん。気合とは裏腹に袋に入れるより落すチップの方が多い菱沼さん。額から頬から目から全て完全防備で挑んだ不気味な男、清原氏。全てのキャラがその持ち味を存分に発揮し腹がよじれるほどの爆笑へと導いてくれます。

そしてスナネズミ飼育に欠かせないチップ。この漫画を読んでいくと否が応にもスナネズミの知識が増えていきます。

 

making of パート4

 パート3に引き続きカメラについてのエッセイです。

 思い通りの写真を撮るために奮闘する佐々木氏の様子が描かれています。今はやはりスマホで撮影しているのだろうかなどと思いを巡らせる次第です。