comicbird’s blog

備忘録として我が家所蔵の漫画を全て記録しておこうと思いつき、始めました。

昭和不老不死伝説バンパイア2 徳弘正也氏

VOL.9:特訓昇平

  あらすじ;昇平とマリアは河原にいた。昇平はマリアに自分の能力の成長ぶりを見せようとしたが、上手くいかず落ち込む。マリアはそんな昇平に落ち込まぬ様声を掛け、新たな特訓を始める。マリアが指で弾いた小石を止める訓練だが、昇平はなかなか止めることができない。マリアはナイフを取り出し、昇平へと放つ。

 

 マリアが自ら昇平を鍛え始めます。河原で能力の披露に失敗した昇平と慰めるマリアは下ネタお笑いたっぷりで微笑ましくあります。そして緊迫感満載の特訓シーンへと入っていきます。緩急のキレが素晴らしいです。昇平に課す特訓は危険この上ないけれど、厳しいだけではないマリアの昇平への心遣いが伝わってきて、それに応えようとする昇平のひたむきさにも心惹かれるお話です。

 

VOL.10:マリアとの契約

  あらすじ;前回特訓で見事マリアの期待に応えた昇平はそのままマリアと交わり、毎日5時に同じ場所で特訓することとなる。一方比丘尼クラブでは十文字篤彦が調査員唐沢より、マリアが育てている昇平の能力などより詳細な報告を受ける。そして篤彦は唐沢より、昇平に会う事を提案される。

 

 前半でマリアが昇平に語る話は、徳弘氏が日頃考えている事と思われます。物語の中に作者の思想などを上手く入れるのは案外難しく、徳弘氏の流石の技量で、心に沁みる素晴らしい内容となっています。次の場面展開では真逆の私利私欲にまみれたお話へと続き、今回もキレのある緩急です。更に新キャラ唐沢の紹介もあり、篤彦と昇平の対面で終わる何とも憎らしい構成となっています。

 

VOL.11:神の名はマリア

  あらすじ;昇平行きつけの図書館で昇平を待っていた篤彦は対面を果たし、自分の身の上を語る。少しだけ心を読める様になった昇平は、篤彦を信頼してその能力がある事を打ち明ける。昇平はマリアに直接会う事ができないとする篤彦の事情に理解を示し、再び会う事を約束する。

 

 昇平と篤彦の初接触回です。昇平の新たな読心能力が明らかとなり、それを篤彦に軽々しく言ってしまうあたりはまだまだ若いです。人の良い、純粋さが今後昇平を苦しめる事にもなるのですが、その純粋さにマリアも惹かれたのではと思われます。一方篤彦は際も甘いも知り尽くした人物です。自分に有利になるモノはトコトン利用し尽くし価値がなくなれば容赦なく切り捨てる面が伺えます。

 

VOL.12:篤彦のマリア

  あらすじ;昇平とマリアは今日も川原で訓練を行う。ますます命の危険を伴うようになり、今回も生き延びる事ができ、マリアと交わる。篤彦のマリアへの思いの強さに不安を感じる昇平だが、マリアが持ってきた十文字グループメンバーの写真に篤彦が写っていても何も思い出す様子のないマリアに安堵を覚える。そして今のマリアは2000年に産まれて篤彦と暮らしていない事を知り、更に嬉しく思う。

 

 昇平の若々しい葛藤が描かれています。篤彦にマリアを取られてしまうのではという不安は大変初々しいものです。やっている事はエロさ満点ですが、青春真っ只中です。今の生身のマリアと愛を育み生きる昇平と、過去のマリアを思い過去のマリアのために全身全霊をかけて生きている篤彦。2人の対照的な現状の描き分けが見事です。

 

VOL.13:愛子反乱

  あらすじ;篤彦の愛も関心も全て取り戻す事が叶わぬと思い知った篤彦の妻愛子は、依頼していた探偵事務所に篤彦の10歳迄の生い立ちを改めて調べさせる。篤彦は行きつけの筋トレジムの地下にて、梅津を含む仲間21人といつもの会合を持つ。マリアを神とし、破滅に向かうこの世界を正す為集まった組織であるが、篤彦は今回とある罪人の神明裁判を行う事にした。

 

 愛子、篤彦、昇平、マリアとそれぞれの感情が描き出される読み応えある回となります。篤彦に絶望した愛子の冒頭の描写が本当に素晴らしいです。篤彦に対する愛子の本心も垣間見える傑作と思います。そんな愛子を道具としてしか見ていない篤彦の人間性もどんどん描かれてきており、益々緊迫感漂う展開となります。そんな中、対照的に相思相愛で幸せ一杯な昇平とマリアが胸に刺さります。

 

VOL.14:処刑

  あらすじ;篤彦の妻愛子が街中でメッタ刺しに殺害された。犯人の男はその場で喉を突き絶命する。昇平と再び接触した篤彦は10歳までのマリアと暮らした日々を語り、その頃が一番幸福であったと話す。マリアとの待合せに向かおうとする昇平に篤彦は、くれぐれもマリアには秘密にと念を押す。愛子の死を知った家族は嘆き悲しみ、マリアのせいだと思い詰める次男に長男は冷静になるよう諭す。

 

 篤彦にとって邪魔となった愛子の処刑により十文字家は激震が走り、それぞれの対応の違いが浮き彫りとなります。激情の次男と冷静な長男。比較的わかりやすくなっており、これからの動向が興味深いです。そして粛々と自らの目的に邁進する篤彦。十文字家の前ではきちんと愛子の死を悲しむ様子を見せて抜かりありません。一方昇平はマリアとの訓練で着実に力をつけてきています。

 

vol.15:不死身のマリア

  あらすじ;愛子殺害をマリアの仕業と思い込んだ次男は独断でマリア抹殺を手配する。マリアは昇平宅からの帰り道尾行に気づいて人気のない場所へ誘導したが、初っ端からマシンガンを盛大に浴びるも瀕死になりながら刺客を撃退する。翌日愛子の葬儀が行われ、そのニュースを知ったマリアは逆恨みである事を知ったが、首謀者が誰かわかりかねていた。

 

 マリアの驚異的な肉体が描かれています。今までもナイフで刺され、銃で撃たれましたが比ではありません。十文字家次男の独断により何百年ぶりかの大打撃を受けたマリア。それでも気を失わなければたちどころに傷は消えていきます。自らを化け物と呟くマリア。マリアの自分という存在への複雑な気持ちが否応なく伝わってきます。それでもひたむきに人間を愛し、日々の幸せを掴むマリアはとても魅力的です。

 

vol.16梅津のおっちゃんとの出会い

  あらすじ;昇平の訓練場所である河原を訪れた梅津は昇平と初対面を果たす。篤彦と知り合いである事から昇平は梅津を信用するが、梅津は昇平の読心能力を篤彦より知らされており、用心して昇平に接する。篤彦に共感して長らく共に行動してきた梅津だったが、十文字以外にマリアを利用しようとする団体の推測をマリアから聞き、自分の信じてきたモノが揺らぐのを感じる。

 

 梅津のおっちゃんがより詳しく紹介されています。マリアとの出会いに加え、篤彦との出会いも描かれています。梅津に語るマリアの話も非常に深い内容となっております。その話は篤彦の人間性を鋭く突いています。篤彦の人を惹きつける魅力の奥でひた隠しにされている本性が透けてきます。人には多かれ少なかれこの様な要素があるのであろうと心に突き刺さってきます。

 

あばれん坊の華麗なる取材2

嫁さんについていこう

 前回同様背景資料取材レポとなっています。今回はおそらく十文字一族の住まいとマリアが生息していた山奥などの背景と思われます。徳弘氏の周りにはとても頼りになる人がいるのだとわかります。