comicbird’s blog

備忘録として我が家所蔵の漫画を全て記録しておこうと思いつき、始めました。

昭和不老不死伝説バンパイア5 徳弘正也氏

 

VOL.33:マリアとの絆

  あらすじ;マリアからの電話を取った昇平は、マリアが岐阜県北アルプス笠ヶ岳の近くにいる事を聞き出す。一方比丘尼クラブでは十文字護弘が親様となり、実質篤彦の思い通りとなる。そんな中コモンセンス社のマリア捕獲部隊は、マリアの睡眠パターンを見極めようと監視を続ける。そして唐沢はその日の夜マリア会に招かれ、天使達より大歓迎を受けた。翌日昇平はばあちゃんに資金援助を受けて背中を押され、北アルプスへ向かう。

 

 蜘蛛の糸の如く繋がれたマリアとの電話から必死に居場所を知ろうとする昇平にのっけから心奪われます。その周りで篤彦と唐沢、コモンセンス社がそれぞれの目的の為、活動を繰り広げます。特にマリア会での唐沢の演説場面は深く深く考えさせられます。心の中はいざ知らず、傍目には何の疑いもなく唐沢の話にきちんと耳を傾け賞賛の態度を示す天使達に日本の国民性を痛感します。感動必須のばあちゃんの後押しを受けた昇平がマリアに再会できる事を願ってやみません。

 

VOL.34:マリアに会える

  あらすじ;昇平はマリアと同じく、新穂高温泉よりマリアに会う為自身も山へ入って行った。篤彦は唐沢の仲介でコモンセンス社重役兼駐日大使エドワード・ハリマンと会う。ハリマンは最高顧問カーネルより預かったマリア会のクーデターに中立な立場をとる旨の書簡を篤彦に渡す。そしてコモンセンス社のマリア捕獲部隊は引き続き山奥でマリアの睡眠のサイクルを見極める為、サーモグラフィーを導入してさらに監視を続けていた。

 

 遂に山の入り口まで辿り着いた昇平。何も知らず、昇平が来るわけないと自分に言い聞かせているマリアがとても切ないです。一方コモンセンス社の強大さも描写されており、コモンセンス社の思惑は一国の体制が根本から変わるか否かをも左右する事がわかります。篤彦はコモンセンス社と対等に渡り合っていると思い込んでいますが、結局はコモンセンス社の掌の上で転がされているだけであった様です。

 

VOL.35:面会の二人

  あらすじ;突如降り出した雨の中、マリア捕獲が始まった。目を覚ましたマリアは身包み剥がされ拘束されており、比丘尼より更に強大な組織にはめられたと知る。昇平は近くでその銃声を聞き、昇平を排除しようとしたコモンセンス社兵士を返り討ちにして始末した。マリアを見つけた昇平にマリアは来ない様叫ぶが、昇平はコモンセンス社兵士が浴びせる雨霰の様な弾丸を全て跳ね返し、マリアを助ける決意をする。

 

 前回鳥が囁かないと訝しんでいたマリアですが、流石にここまで大規模な組織に狙われているとは思いもよらなかった様です。コモンセンス社兵士のマリアを捕獲する手際は大変見事でした。一切の情を消して命令に忠実に従っている事が伝わってきます。人間は、どの位の期間、どの様な訓練を受けたらこの様な忠実な兵士となるのでしょうか。彼らも職務を離れたら心平静に暮らす事はできるのでしょうか。そして昇平の能力が大開花します。

 

VOL.36:激突

  あらすじ;凄まじい数の銃弾を全てガードして跳ね返しながら一歩一歩マリアへ近づいて行く昇平。その隙にマリアは自分の手を潰しながら手枷を外して反撃を開始し、手の届く兵士を始末した。しかしまだ遠くから狙われていると指摘するマリアに、昇平は念力バリアを安定させられる旨を告げ、銃弾が未だ止まぬ中2人は抱き合い、唇を重ねて再会の喜びを分かち合う。

 

 全ての弾丸を跳ね返せると強く自分に言い聞かせながら前進する昇平に深い感動を覚えます。マリアもそれに応える様自分で次々と兵士達を始末していきます。手枷の外し方から石つぶてでの反撃開始、更には敵の武器を奪い、銃弾を受けながら倒していく様は圧巻です。そんな大興奮のバトル後、2人が再会を喜び合う様は更なる感動に震えます。束の間の幸せがひしひしと伝わってきます。

 

VOL.37:神マリアの正体

  あらすじ;留守電で昇平が北アルプスに向かった事を知り、篤彦は憤りを抑えられない。一方マリアは足枷も外し、昇平の指示で岩砦に籠ることになった。すぐにでもこの場を離れたいマリアはなぜ籠城するのか昇平に尋ねる。昇平は篤彦とマリア会の存在をマリアに説明し、必ずマリア会の天使達が2人を助けに来ると力説した。篤彦からの助けが来る事を信じて疑わない昇平を見て、マリアは自分の認識が甘かった事を痛感する。

 

 冒頭でマリアと昇平をどれだけお互いを大事に思っているかが伝わって来ます。のっけから心に沁みます。今回はいつもよりページ数が多い様で、内容も充実です。唐沢が篤彦の真の本音を余すところ無く篤彦に突き付けます。今まで集めた資料の中で何が一番篤彦を動揺させるかを唐沢は充分心得ており、畳み掛けるタイミングも見事です。唐沢の抜け目ない有能さ、ひいてはその様な人材を抱えているコモンセンス社の恐ろしさまでも描かれています。

 

VOL.38:コモンセンス社の甘言

  あらすじ;朝から昇平は、マリアが何と言おうと篤彦の助けを信じてコモンセンス社からの一斉射撃をガードし続けていた。相手はマリアが死ぬ攻撃ポイントや加減も熟知しており、挙句の果てにはミサイルまで飛んできた。それでも昇平は篤彦の助けが来るまでと懸命に全ての攻撃を跳ね返し続ける。昇平の体力も限界を超えた頃射撃は止み、マリアへ投降を促すアナウンスが流れ始めた。

 

 冒頭より前回の終わりから引き続き、前日の比ではない銃弾が浴びせられています。昇平を支えているのはマリアを守りたい強い想いと篤彦の助けがあると言う希望です。一瞬でも篤彦を疑っていたら、2人は銃弾で穴だらけだったでしょう。その裏で描かれている篤彦の覚醒が素晴らしく、圧倒されます。ずっと自分をも欺き続けていた本心を認めた篤彦。人間は良くも悪くも自分の本音と向き合うのが精神衛生上非常に大事であることがわかります。

 

VOL.39:決断

  あらすじ;篤彦の裏切りを知った昇平にマリアは落ち着く様語りかける。すぐには受け入れられない昇平を優しく諭し、コモンセンス社から一晩考える時間をもらう。マリアは昇平を水浴びに誘い、未だ篤彦を信じていたい昇平に、篤彦がどの様な人間であるかを説明し、これからはマリアの考えた策に従う様指示する。そしてマリアは我慢できなくなり昇平を求め、2人はそのまま交わりお互いの愛情を確かめ合う。

 

 遥か昔から人間を見続けてきたマリアの深い洞察が披露されています。昇平から篤彦やマリア会の存在を知らされた途端、マリアには篤彦という人間の本性がわかったのでしょう。今回マリアから語られる言葉は、本当に人間と言う生物の本質を説明している様に思われます。それはマリアがずっとずっとその様な人間達の標的となってきたからでしょう。それでもその度に昇平の様な素晴らしいパートナーを見つけて来たが故、マリアは素晴らしいのだと思います。

 

VOL.40:マリアからマリアへ

  あらすじ;コモンセンス社の兵士達が監視を続ける静寂の夜、砦の中でマリアはマリアを産んだ。今のマリアもまだ4年目の中産まれたマリアは生命力が弱かった。マリアは赤子のマリアに生きる様声を掛けてリュックに納め、朝昇平に託す。コモンセンス社に抵抗の意を示し、激しい銃弾が降る中でマリアに檄を飛ばされ、昇平はもうマリアを守れないという断腸の思いを抱えて赤子と共に逃げ延びる為、川に飛ばした倒木に飛び乗る。

 

 毎回号泣必須の傑作回です。ギリギリの状況でも諦めずに昇平を逃し、自身もどの様な形であれ生き続けようとする美しすぎるマリアが描かれています。昇平にも痛いほど伝わってきたのでしょう。昇平のガードが外れ、まともに銃弾を浴びるマリア。およそ人間相手とは思われない攻撃を昇平にも浴びせ続けるコモンセンス社から生命果てるまで守り続けたマリアは、神々し過ぎて筆舌に尽くしがたいものがあります。本当に心を鷲掴みにされる回です。

 

VOL.41:現在より未来へ(ここよりとわへ)

  あらすじ; ヘリの対戦車ミサイルから昇平を守り、ヘリと共に四肢もバラバラとなったマリア。全て目撃した昇平は、まだまだ昇平を狙う兵士達を一瞬にして全滅させる。コモンセンス社最高顧問カーネルは撤収を決定する。唐沢は一部始終の報告を受け、兵士達の無能ぶりに地団駄を踏む中、一緒にいた篤彦はマリアが逃げ延びた事に満足し、改めて自身が国を救う天使となることを表明する。後ろに立っていた唐沢は篤彦に銃を発砲し、昇平は東京の自宅へ戻り、ばあちゃんと子供のマリアと共にいた。

 

 全くもって最後までジェットコースターの様です。マリアの死を目の当たりにした後に昇平の能力は全開放されます。その後骸となって流れる首の無いマリアの上半身に手を伸ばす昇平が心に突き刺さります。また、実際に現場を見ていた者と唐沢の反応の違いも興味深いです。現場と指示出しの心持ちの違いに通ずる所がある気がします。そして篤彦の描写も抜かりありません。この作品のもう1人の主人公であったのではと思ってしまいます。

 

 あばれん坊の華麗なる温泉

休日温泉に行き始めた徳弘氏の草津温泉訪問記になります。