comicbird’s blog

備忘録として我が家所蔵の漫画を全て記録しておこうと思いつき、始めました。

近未来不老不死伝説バンパイア壱 徳弘正也氏

VOL.1:本田マリア

  あらすじ;2010年マリアが少女の頃、国はクーデターによってマリア会の配下となった。2014年マリア立法は国中に浸透し、マリアの通う高校でも唱和が義務付けられ、唱和をしなかったマリアは反省室で鞭打たれていた。反省室から戻ると、友人のブーちゃんも制裁を加えられ、廊下に立たされていた。学校からの帰り道でも江戸時代さながらの公開処刑が行われているなど、マリア会による支配前とはまるで違う光景が繰り広げられていた。

 

 昭和編バンパイア続編となります。オープニングだけあり丁寧な状況説明を巧みに織り込み、物語の世界観がよくわかります。加えて前半のアシスタントさん総動員かと思われる程の緻密な一コマ一コマが圧巻です。一切の妥協がありません。場面展開も複数交えて飽きがこず、解りやすいです。後半の公開処刑で刑罰を受ける罪人の表情も見事な生々しさで描かれており、初っ端からクオリティの高さに圧倒されます。

 

VOL.2:本田マリアは妹

  あらすじ;マリアは帰宅途中昇平と会い、クラスメート石黒ひとみと別れて一緒に帰途に着く。帰宅後、昇平はマリアの体の傷に気付いてガマの油を塗るが、その間マリアは自分を妹としてではなく女として扱って欲しいと切望していた。しかし、どんなに強く思い願ってもマリアの心の声は昇平に届く事はなくなっていた。不完全に生まれたマリアでは昇平の超能力を保つ事はできず、昇平の能力は弱まっていた。

 

 昭和編の貧弱な黒髪容貌は何処はやら。大幅にイメチェンしたムッキムキ昇平となっております。髪の色も明るくなり、イケメン部類ではないかと思われます。今回は昇平のばあちゃんが既に他界しているなど2人の状況も紹介されながら、前半では昇平とマリアの昭和編から続くこの国に対する考え方の違いも改めて語られています。さらにはマリアの昇平への溢れんばかりの恋心も描写されており、物語へ入り込む準備は整います。

 

VOL.3:昇平の戦い

  あらすじ;マリアと友人ブーちゃんが登校中の朝から、二足重戦車が列を成して道を歩いていた。ブーちゃん曰くマリア会の20天使の1人、中村雄太郎殺害の犯人を捜しているらしい。すると戦車の内の1台が姥捨て山からの脱走老人を発見する。ブーちゃんの『じいちゃん』と言う言葉を聞いたマリアは、老人を始末しようとした戦車に立ち向かい老人を逃がそうとするが、老人は射殺される。戦車の操縦者達はマリアが神マリアであると気付き涙を流して拝み去る。

 

 この国は70歳以上が間引きされる世界である事が紹介されています。公開処刑や姥捨て山の復活は考えさせられるものがあります。結局老人はブーちゃんの身内ではありませんでしたが、実際ブーちゃんのじいちゃんは姥捨て山行きとなっていて、自分の身内がそうなったらと想像せざるを得ません。また、老人救出のためマリアの驚異的な身体&戦闘能力が披露され、今後の活躍が期待されます。更に今回は昇平の職場や仕事内容も描かれています。ムキムキも納得です。

 

VOL.4:原理派対革新派

  あらすじ;マリアは戦国時代での戦闘を回想していた。治癒能力はまだであるが、本来の戦闘能力が戻った事を自覚し、ブーちゃんに自分がどの様な生物であるかを語る。一方昇平はBAR &CAFE蝙蝠という店を1人訪れる。中ではマリア会20天使の1人、清子氏が待っていた。清子氏は今回、昇平に天使の1人中村雄太郎を殺害する様話を持ちかけて手助けをした人物であった。

 

 前回のマリアの戦闘能力は本来の能力が戻ったものである事が語られています。これからは残りの能力も戻ると思われ、頼もしい限りです。加えて天使の1人である中村雄太郎殺害の顛末と共に、マリア会が2派に分裂しており、その抗争に昇平も巻き込まれているであろう事が描かれています。マリアは闘いの後性欲が激しくなるなど青年向けの設定も加わり、どんどん内容が盛り沢山となってきて目が離せません。

 

VOL.5:欲望の本田マリア

  あらすじ;監視カメラによるマリアの映像が流れる中軍幹部会議は続き、マリア会で作成したクローンのマリアを神にしようとする計画が語られる。一方マリアは学校より帰宅し、昇平は入浴中であった。マリアは自身も風呂場へ入り、昇平への欲情を告白する。受け入れてはもらえなかったが、昇平がかなり我慢している事がわかり喜ぶマリアであった。翌日マリアはクラスメート石黒氏より中村雄太郎殺害が昇平の仕業であると知らされる。

 

 前回の終わりから引き続き、マリアの関係するありとあらゆる場所に監視カメラが設置されている事がわかります。マリアを守りたい昇平はマリア会の求める純潔なマリアを裏切らぬよう涙ぐましい努力で欲望を抑えます。個人的にはほぼほぼ手遅れの様な気がするのですが、決定的行為を撮られなければギリOKと考えることにしました。因みに後半の風呂場で昇平に拒まれた後、泣きながら顔を上げたマリアの表情が非常に美しいです。

 

VOL.6:マリア会の刺客

  あらすじ;石黒氏より昇平の所業を知ったマリアはまだ終わらない学校を飛び出し昇平の仕事場へ急ぐが、昇平は昼食休憩中であった。近所の寺で1人昇平は昼飯を食しながらマリアの昨日の体付きや感触を思い出し、食後我慢の限界を超えて自慰行為を始める。その直後、殺し屋と思われる刺客が昇平を襲う。昇平は念道波で応戦するが、途中で念道波が全く出なくなってしまう。

 

 マリアが昇平の元向かう冒頭にてマリアや昇平に限らず、街中のあらゆる所で監視カメラが設置されている描写があります。監視カメラの社会が行き過ぎた末の歪みを見る事ができ、便利な最新機器の使用は塩梅が重要であると感じさせられます。お話の内容は昇平の弱まって行く能力とマリアの急上昇した戦闘能力の対比が興味深いです。昇平の手伝いを願い出るマリア。目が離せなくなってきました。

 

VOL.7:四人の原理天使?

  あらすじ;昇平は自身の天使殺害をマリアに騙されたと気付き、天使殺害を持ち掛けた小谷清子氏に抗議する。しかし清子からマリア本人を神とする原理派を取り巻く厳しい状況と、昇平1人では到底全ての天使殺害は無理であろうと言う指摘を受ける。昇平は何もかも清子に筒抜けである事を痛感し、清子にいい様に利用されているとわかっていても今は清子の指示に従う他はないと思う。

 

 冒頭の昇平の力になりたいと願うマリアとマリアを危険に晒したくないと言う昇平の気持ちの交錯が切ないです。大分エロエロな妄想描写も伴いますが。その後の昇平と小谷清子氏のやり取りから、個人が大組織と渡り合う難しさを知る事ができます。圧倒的な情報収集能力と投入可能な人材や技術の数々。個人でまともにぶつかっては到底太刀打ち出来ず、組織側の思惑通りにいい様に踊らされてしまう事がよくわかります。

VOL.8:将軍と20天使

  あらすじ;次の殺害ターゲット奧須正男の家へ向かう昇平とマリア。昇平は途中隠していた武器をマリアに渡し、昇平は自身が奥須を狙うと告げ、マリアには奥須宅にいる番犬を倒す様指示する。マリアは家にいたドーベルマンの息の根を全て止めたが虚しさだけがこみあげ、期待していた絶頂を全く感じる事なく昇平の元へ向かう。昇平は離れの教会で説教を終わらせて戻って来た奥須を、念動波で首を切断して殺害していた。

 

 冒頭マリアは初めて敵を討つ、しかも昇平の手伝いで、という事でワクワクが止まらない様です。下水道から地上に上がる際は凄まじいバネで地上までジャンプし、番犬のドーベルマンはほぼ一刀両断する強さを発揮します。しかしドーベルマンを始末した後のマリアの心情の変化に深く考えさせられます。行う前の想像と行った後のギャップ描写が流石です。実際に生きている者の命を奪うという行為を行った時、人はどの様な状態になるのか、可能なら経験せずに死んでいきたいものです。

 

いけいけジムおやじ

 徳弘正也氏が近所にできたスポーツジムに通う生活を描いたエッセイです。